すべてはあの花のために❾
組を、そして道場を良く思ってない人が、そこを壊そうとした。でも、自分では手を出さず、そこの関わりのある人たちを使って壊した。
彼らはオレたちの手によって警察に連行された。真実を知らないまま彼らの嘘に騙されて、カナをここまで苦しめた。
「そして、……あいつを殺そうとした」
急に低くなったオレの声に、二人は驚いていた。
「ま、あいつは死なないとは思っていたんですけど、取り敢えずぶん殴っていいですか」
「「え」」
返事も待たず、二人の鳩尾に拳を一発ずつ入れる。
「~~……っ」
「いったあ~……」
「別に、カナの代わりとか、あいつの代わりとかじゃないです。ただオレが、あいつに怪我させたことにめちゃくちゃ腹立ってるから殴ったんで。次あいつになんかしたら、今度こそマジで殺します」
「……わ。わかってるよ」
「す、すまんかったな……」
「さてと。……本当の話を聞いて、どうでした?」
二人は、戸惑った様子で視線を交わしていた。
「ま、信じるか信じないかはあなた方の勝手です。ですが残念なことにあなた方はもう、話を聞いた時点でオレの駒だ」
「「はい?」」
「言いましたよね。オレには助けたい人がいるんだと」
「そうだね」
「ギブアンドテイクといきましょう」
「いやいや、わけわからんでー……?」
「どうしてですか? オレは、あなた方が知らなかった情報を一寸の狂いもなく話しました。オレが話せる範囲で」
「……ということは、まだ知っていることがあるんだね」
「それは事情があって言えないんですが……その情報を受け取った代わりに、オレと一緒にその人を助けて欲しいと言ってるんです。だから、ギブアンドテイク。ね? 合ってるでしょ?」
「いやいや。命かけるんやろ? 全然割に合わんでー……」
「自分から話しておいて、よくもまあそんなことが言えるね」
まあ確かに自分勝手だろう。過去の本当の話と命じゃあ、重さが全然違う。
「でも、オレが助けたい奴が、あなた方のことをすくってくれたとあれば。話が変わりますよね」
義理堅い人たちだ。恩は必ず返すだろう。
「よし! 何すればいい!?」
「絶対に助けちゃるでー!」
「(酷い贔屓だ……)」
ま、そうさせるのも理事長の目論見だ。これでいい。
「にしても、どういうこと?」
「なんでや? あの子どうしたんや」
「……あいつを、あそこの家から助け出してやりたいんです」
「家って、確か……」
「道明寺、やったか?」
「その家で、いろいろつらいことがあるみたいなんで。なんとか助け出してやりたい」
「だったら掻っ攫って俺の嫁さんにしようか!」
「いやいや、せやったら俺がもらう」
「……はあ?」
「すみません……」
「調子に乗りましたあ……」
「……言ったでしょう。命をかけるほどだって」
「でも、そうなったら一刻も早く……」
「助けてやらんと……」
「……ちょっと、いろいろ複雑なんです」
「それは、教えてくれないんだね」
「俺らが知らんことを、日向くんは知っとるんやな」
「はい。でも、これも事情があって言えないんです。すみません」
「……そっか」
「それで? 俺らは何をしたらいいんや?」
「あいつのことを話せないのは、嘘偽りない事実を知って欲しいからなんです」
「というと?」
「あいつのことをきちんと知ってやらないと、あいつのことは、助けてやれないんです」
「……ようわからんけど……」
「それだけ、あいつのことが複雑なんです。あいつのことを知るには、あいつから聞くのが一番だ。だってあいつ自身のことを話すんだから、その本人がよく知っているでしょう?」
「……まあ、そうだね」
「でも、そのことをあいつは話したがらないんです。オレらには一番」
「……そのわけも、日向くんは知っとるんやな」
「はい。だから、オレからは言えないんです。あいつの口から、直接聞いてもらわないといけないんです」
「……わかった。それで? アオイちゃんを助けるには、俺らは何をしたらいいのかな?」