極氷御曹司の燃える愛で氷の女王は熱く溶ける~冷え切った契約結婚だったはずですが~

 でも時々、あふれそうになる。
 そんなとき、私はどうすればいいのかわからない。
 だから顔になにもでない。冷たいかんばせのまま、披露宴会場の大きな両開き戸の前に立った私の手を、大きな手のひらが握った。

「宗之さん。こんな演出、ありましたっけ」

 そう聞きながら宗之さんを見上げた。彼の手のひらは、とても温かい。
 肋骨の奥で凍えて縮こまっている心臓がゆっくりと拍動した。宗之さんは「いや」と前を向いたまま言う。

「君の手は冷たいな」
「ええ、まあ」
「根拠のない俗説だが、手が冷たい人間は心が暖かいらしい」

 彼の言葉に内心目を丸くした瞬間、披露宴会場の扉は開かれた。






「おめでとう、三花」

 披露宴後、新婦控室で旧友の顔を見た瞬間、ドッと疲れが押し寄せてきた。気が緩んだのだろう。私は白い大きなソファに横たわるように座り、旧友で親友、幼稚園からの同級生、西園寺梨々花の顔を見上げた。

「めでたいと本当に思ってる~?」

 彼女は、私が世界で唯一、感情を表にだせる相手だった。
 私が生徒会長をしていた学生時代も副会長としてそばにいて、支えてくれたたった一人の親友。
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