極氷御曹司の燃える愛で氷の女王は熱く溶ける~冷え切った契約結婚だったはずですが~
帰宅する途中、花屋を見つけて車を止める。
花を贈りたいと思った。ほかの男に贈られる前に――今日のことは勘違いだったけれど。
いくつもの種類のピンクの薔薇を一抱えもする花束にした。
鮮やかなものも、さっきの花束のような少しくすんだ色のものも。
まとめると不思議なほど統一感があって綺麗になった。
「ただいま」
家に入るとまだ三花はいなかった。
俺は彼女のためにサンルームの照明をつけヒーターをいれ温める。
猫足のテーブルに花束を置き、クリーム色のソファに座り目を閉じて大切な人の帰宅を待つ。
冬の夜はしんと冷えていた。
「……もどり、ました」
リビングのほうから緊張をはらむ声がして体を起こす。
明かりに気がついたのだろう、サンルームをのぞいた三花が花束を認め目を丸くした。自然と俺の頬が緩む。
「おかえり」
「あの、その、それ」
「君に」
俺は立ち上がり、薔薇を彼女に押し付ける。
「三花。ホテルでもらっていた花は?」
「会社……執務室に飾りました」
「そうか」
大きすぎる花束を両手に抱えた三花は目を細め花を見つめている。かわいい。
「まるで花の妖精みたいだ」
「…………え?」
きょとんと三花が俺を見上げる。
俺は彼女の頭にキスをして軽く抱き寄せながら「妖精」と繰り返した。
「よ、ようせい……というのは」
三花は肩をこわばらせ薔薇の花に鼻を寄せた。
俺は三花のなめらかな頬を指先でくすぐる。
「fairy」
「私が……ですか?」
三花はそう言って目を瞬き、それから微かに唇を上げた。
「まさか。ご存じですか、私、氷の女王なんて言われているんですよ」
どこか自嘲を感じ、首をかしげて彼女から離れ、薔薇を受け取りテーブルに置きなおした。
「それにしては、君はとても温かい」
「え」
俺は大股で彼女に近づき、正面からじっと見下ろす。手を握り、ふっと笑った。
「指先は冷たいな。でも」
つ、と指先で手のひらをくすぐり、手首を撫でる。
ぴくっと三花が引こうとしたそれを引き寄せきゅっと抱きしめ頭に頬を寄せた。
「ほら、温かい」
そっと息を吐く。
三花の甘い香りが、サンルームを満たす薔薇の香りと入り混じる。
ああ、どうにかなってしまいそうだ。心臓が暴れている。
「好きだ、三花」
「む、宗之さん」
「いいじゃないか、君は素敵だから。女王でも妖精でもお姫様でも」
「お姫……様?」
三花が目を瞬く。
俺はそのかんばせをのぞきこみ、頬に唇を寄せた。
「そう。俺の女王様で、妖精で、お姫様」
息を呑む三花に囁いた。
「キスしたい。だめか」
「宗之さん」
三花の声が震える。
戸惑いの中に確かに感じられる甘さに歓喜で胸が打ち震える。
「三花」
名前を呼び、そっと唇を寄せた。
三花は抵抗しなかった。