極氷御曹司の燃える愛で氷の女王は熱く溶ける~冷え切った契約結婚だったはずですが~
「どうして俺に言わなかった? そんなに俺は頼りないか」
「ですから嫌がらせなんてされていません」
だってそれを認めたら、あの人はどんな目に遭ってしまうの。
宗之さんはため息を吐き前髪をかき上げた。
「吉岡さんから聞いている。コピーもすべて受け取った」
思わず息をハッと吐きだした。軽い混乱に襲われる。かまをかけられたのではなく、全て知られていた……どう反応すべき?
あの溌溂とした女性を守りたいと思う。
私のあさましい嫉妬のせめてものつぐないだ。
「いい加減に認めろ。俺に君を守らせろ」
「嫌です。自分で対処できます」
「なにもしようとしていないと聞いた。心配で気が狂いそうだ」
ぐっと彼が奥歯をかみしめたのがわかった。とたんに泣きそうになる。なんでそんなことを言うの、私が大切みたいな顔をしてそんなことを言うの。瞬間、感情があらぶって止められなくなる。必死でそれを抑え込み、きっと彼を睨んだ。
「そもそもあなたのせいでしょう」
そうだ、あなたのせい。悲しくて寂しくて彼を責め立てたい気分になる。
「きちんとあなたが彼女に伝えておかなかったのが原因なのでは? この結婚はただの契約結婚で愛しているのは君だけだと」
「……三花?」
宗之さんが微かに動揺しているのがわかる。なんだか泣き笑いしそうになりつつも、いつもの私、クールな氷の女王を意識しつつ言葉を続ける。
「その上に、何を思ったのか私のことを愛しているだなんて……どう別れを告げたのですか。そんなの、怒るにきまっているでしょう。ああ、お手を煩わせずとも私のことは私でなんとかしますから」
「待て」
宗之さんは言葉を遮り私の手をつかむ。
「なんです」
「なんの話だ、さっきから……俺に愛人がいるような言い方のように聞こえるんだが」
困惑を顔に張り付ける彼に、私は「恋人」と言い換えた。
「私たちが契約結婚である以上、通常の愛人とはまた一線を画すべきなのではないかと」
「いない」
宗之さんはそう断言する。
「結婚前から、君と並行して付き合っていた女性なんかいない。愛しているのは君だけだ」
らちが明かない。私はあきらめ、覚悟を決めた。真実を知ることは、とても怖いのだけれど仕方ない……。