あの桜の木の下で
✿あの桜の木の下で✿
戊辰戦争が近づく中で、新選組の隊士たちの緊張感は一層高まっていった。京の街での戦闘が激化し、各勢力の思惑が絡み合う中、新選組もまた重要な役割を果たすことが求められていた。

鉄之助は、まだ若さゆえの熱意を抱きながらも、少しずつ経験を積み重ねていた。しかし、戊辰戦争が始まり、状況は一変する。新選組の隊士たちは、戦場で直面する現実に向き合わなければならなくなった。

ある日、近藤さんが隊士たちに戦の準備を命じる。

「いよいよだ。準備を整えろ、皆。」近藤さんの声が屯所内に響く。「今、俺たちに必要なのは、決して揺るがぬ覚悟だ。全てを賭けて、この戦を乗り越えなければならない。」

鉄之助は、改めて自分の立場を確認した。彼はまだ若く、経験も浅い。しかし、周囲の隊士たちの覚悟を感じ取り、彼自身も次第に自分の覚悟を固めていった。

「必ず戦い抜いてみせる。」鉄之助は心の中で決意を新たにした。

その日の夜、戦いを前にして、鉄之助は沖田さんと一緒に屯所内を歩いていた。沖田さんは、あまりにも冷静で、どこか遠くを見つめるような表情をしていた。

「沖田さん、大丈夫ですか?」鉄之助が尋ねると、沖田さんは静かに笑って言った。

「大丈夫だよ。ただ、戦いが近づくと、どうしても考えてしまうんだ。」

「戦いって、怖いですか?」鉄之助は素直に聞いた。

沖田さんは少し考え、そして答える。「怖いけど、覚悟を決めているから。戦うことが怖いなら、戦う意味がなくなっちゃう……でも、怖くないわけじゃない。」

その言葉に、鉄之助は深く頷いた。沖田さんのような強さを持つ人でも、戦いに対する恐れを感じている。その覚悟を理解し、鉄之助は心に一層強い意志を持つことができた。

次の日、戊辰戦争の戦局が本格化し、新選組も戦場に立つことになる。鉄之助は、初めての大きな戦闘に臨むこととなるが、緊張と共に覚悟を決めていた。

「俺は、隊士として戦うんだ。」鉄之助は、自分の心にそう誓った。

戦場では、鉄之助がどれだけ成長したかが試されることになる。初めての大きな戦闘の中で、彼は数多くの困難に立ち向かい、仲間たちと共に戦い続けることになる。その先に待っている運命が、どんなものであれ、彼は決して後悔しない覚悟を持っていた。

そして、戦いが進む中で、鉄之助は新選組の一員として、隊士たちとの絆を深め、真の隊士として成長していくのであった。

そして、その戦が始まる少し前に遡る。

「総司。お前は戦には出せねぇ。大阪で療養しろ。」

「嫌です。」

「だめだ。」

鳥羽・伏見の戦いの前日、大阪に降れと土方さんがそうちゃんに言っていた。

「そうちゃん。戦が始まるんだから満足に療養することが出来なくなる。だから大阪に行って。」

俺はそうせがむように頼み込む。とうとう観念したのか、そうちゃんは大阪に降ることになった。
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