ワケアリ無気力くんが甘いです

ディスプレイされてるものは無理でも、少しお財布に優しい浴衣、探せばあるかもしれないから。


「もしかして、着てくる?」
「そう、しようかなと。でも、私服の方がいいかな……」


別に浴衣を着なくても、花火は出来る。
それに花火大会の方へ行くわけじゃないし──


「いいじゃん。俺もなんか着れるの探してみるから」
「うん!」


うんうん、と首を何度も縦に振れば、先崎くんは笑った。


「じゃまたね、夜」
「うん、またね」


エレベーターがある方へと歩いていく先崎くんを見送る。
まさか、こんなところで会えるなんて。私が少し遠出をしたからっていうのもあるんだろうけど、嬉しい。





──帰ってすぐ、浴衣を抱きながら仰向けでベッドに飛び込んだ。


「はぁ……」


ここ何年も花火大会とは無縁の生活をしてきたのに……


『夜が嫌じゃなければ俺と2人で』 


私の手には新しい浴衣がある。


あれからお店の中を2時間近く彷徨い、悩み続ける私に店員さんが声をかけてくれて、合わせたりしてくれたから納得出来るものを買えた。

しかも浴衣セットをセール価格でお安く。
お小遣いはほぼほぼ消えてしまったけど。


「あ、でも着付け……動画見たらなんとかなるかな?」

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