ワケアリ無気力くんが甘いです

「え?ああ、うん。つけてみました」
「さんきゅ」


一瞬だけうっすらと笑って、先崎くんは『行こ』と言ってゆっくり歩き出す。
その横を歩きながら、チラリと先崎くんを見てみれば……揺れる髪からごつめのピアスが見え隠れして、その横顔もまた……


「どうかした?」
「っえ!?いや……かっこいい、なと」


盗み見がバレたことで、普通にかっこいいと口にしてしまったことで、恥ずかしくなって先崎くんを見れなくなった。巾着の紐を握りしめながら歩く私に、先崎くんがクスクスと笑う声が。でも見れない!


──というより私、よくストレートにかっこいいって言えたな……。


それから、恥ずかしさで中々顔を上げられなくなった私に先崎くんが持っている袋の中の花火を見せてくれたり、夏休みどんな感じに過ごしているかを話しながら河原へと向かった。




──階段や砂利で先崎くんがスマートに、かつさりげなく手を伸ばしてくれる先崎くんに触れることが多くて……今日はいつもより落ちつかない。

……先崎くんは、いつも通りって感じがするから私だけ、意識……してるのかな。
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