ワケアリ無気力くんが甘いです
「始まったんだね、花火大会」
「だね……てかここ、意外といい場所じゃない?少し遠いけどちゃんと見えるし。おまけに誰もいない。穴場。地味に外灯ちゃんとあるしさ」
「確かに、静かだもんね」
「俺はこっちの方がいい。人混みもそうだけど、ゆっくり出来るし。話もちゃんと聞けるから」
「……うん、私も」
ね、と言う先崎くんに花火へと火をつけてもらい、私たちは打ち上げられる花火を時折見ながら、しばらく手持ちの花火を楽しんだ。
──その途中、やたらと先崎くんのスマホが鳴っていたけれど、藤田くんだからと一向に見向きもしないところには苦笑い。
でも、先崎くんのことを自覚した私にはちょこちょこ来る藤田くんのメッセージ音に緊張は柔いでいた。ずっと二人でいるから、意識しないほうが難しいし……。
「……なんだかんだ線香花火までやり終わったね。結構持ってきたのに。あっという間。勝負も楽しかったし」
「だね、私は負けちゃったけど」
線香花火、どちらが最後までもつかって勝負。三回戦もあったのに惨敗。