ワケアリ無気力くんが甘いです
「俺の勝利はゲームの分ってことかな。……軽く片してそろそろ帰ろっか」
「うん……」
花火大会が終わる残りわずかな時間、遠くで花火が打ち上げられる音を聞きながら、帰路についた。
──綺麗だね、楽しかったね、と2人で花火を見ながら余韻に浸り、これまたあっという間に家の前に着いてしまった。
「送ってくれてありがとう。花火、すごく楽しかった」
また明日ね、って学校みたいに言えないのが寂しい。
「なら良かった。俺も楽しかったし。また、来年も出来るといいね」
「え?」
「2人花火」
来年……。また2人で?
そんなことを言われると思っていなかったから、口が半開きのまま閉じなくなってしまう。
「……なんて、夜に好きなやつ出来たら無理か。それじゃ、また──」
「や、やる!来年も2人花火!予約しておきます!」
手を振って踵を返そうとする先崎くんに、半ば叫ぶようなかたちでだした私の声があたりに響いた。
「え……予約ってっ。でもいいかも。俺も、夜との2人花火予約しておくね」
小指を指切りするようにして先崎くんは笑うから、私もその小指にちょんと触れる指切りをした。