ワケアリ無気力くんが甘いです
……え?
気付いてくれた、って思ったんだけど……スッと立ち上がって先崎くんはどこかへ行ってしまった。
私が目、合った──ように見えただけ?
心に虚しさを感じ、廊下に出て遠ざかっていく先崎くんを見つめていれば、不意に肩に手を置かれた。
「……先ちゃんってばおバカさん」
「藤田くん……」
呆然とする私に、珍しく藤田くんが困った顔をして笑いかける。
「なーんか変なんだよね。ま、聞いても言わないのが先ちゃんだから聞かないけど。……机は僕が持ってくるね」
ポンポン、とまるで気にしないでとでも言うような……そんな風に肩を二度叩いて、藤田くんは机を取りに行ってくれた。
ぎこちなく、その背中にお礼を告げれば後ろ姿のまま手を振り返される。
私はもう一度、先崎くんが歩いて行った方向を見たけど、先崎くんの姿はなく……教室に戻ることにした。