ワケアリ無気力くんが甘いです
「顔に似合わず、びっくり発言するね。でもありがと。……すげぇ嬉しいよ」
良かった……先崎くん、面と向かって笑ってくれた。
「でも夜は距離置いたりしなかったのに……避けたことは本当にごめん。……またこっから、俺と仲良くしてくれる?」
焦ったり、シュンとしたり、今は不安そうに私を見つめ手を差しだす先崎くんが、元不良と思えないほど可愛くて。
「……っもちろんだよ」
出された手を笑って握り返そうとするも、またここで意識しはじめた私は、遅く来た緊張により指先だけをちょこんと握った。
「なにこれっ」
「私なりの握手というか……」
うまいこと誤魔化す事が出来たと思ったのに、先崎くんは私の手をぎゅっと握る。
「握れた。……今日、来てくれてありがとね。またゆっくり遊ぼ」
「……うん」
「気を付けてね。また、学校で」
「うん、またね先崎くん」
ゆっくりと握られた手が離されていき、改札を通れば、私が角を曲がるまで先崎くんは見送ってくれた。