ワケアリ無気力くんが甘いです
──2人してあまり口数は多くなかったけど、居心地は全然悪くなくて。
途中、足のことが見抜かれ私をおぶろうとするを丁重にお断りしたり。
そのかわりと言ってずっと掴まれていた腕のことで私は終始ドキドキしたままの帰宅になった。
ひとりで帰るより家に着くのが早い気がして。もう着いちゃった……なんていつも思わないのに。
やっぱり先崎くんといるとドキドキしながらも心地良いのだと……好きなんだと、実感する。
「送ってくれてありがとう。物置の時も、助けてくれてありがとう、先崎くん。すっかり暗くなっちゃったけど大丈夫?」
振り向いてお礼を言うも、なぜか離されない腕。
「あのさ……その」
「ん?」
俯きがちに視線を泳がす先崎くんに、首を傾げればなぜか先崎くんは私の腕を離したかと思えば、マスクを外し制服を正し始めた。帰り道、暑いとネクタイを外したりボタンあけたりしていたのに。
「……王道ってか、ありきたりかもで迷ったんだけど……今日のことあって、決断に至ったっていうか」
決断?
頭を掻いて、髪をかき上げた先崎くんは深い深い呼吸をすると、真っすぐに私を見据えた。
外灯の下、私を見つめる目に、どきんっと大きく鼓動が跳ねる。