ワケアリ無気力くんが甘いです


20分程が経過し時計が7時50分をまわった――


先崎くんの画面には【LOSE……】の文字。
反対に私には【WINNER!】の文字。

先崎くんはスマホから顔を上げて私を見た。


「……めっちゃ強いじゃん」

「いぇい」


笑ってピースサイン。


「俺、勝つ自信あったのにな」
「先崎くんも凄かった。何回か負けちゃいそうだったし」

「地味に悔しいな……もう一戦……と言いたいとこだけど」


ざわざわと廊下から聞こえてくる声に先崎くんは立ち上がった。


「そろそろか……」
「うん、ありがとう楽しかった」
「俺も……今度リベンジさせて。次やる時までもっと腕磨いとくからさ」


マスク越しに先崎くんが笑う。
何度か見たことあるけど、なんか驚いちゃう。
でも素顔が見えない先崎くんが笑ってくれるとこちらも自然と笑みを返せるのが不思議。


「うんっまたやろうね」
「うん。じゃあ、一旦ばいばい」


小さく手を振って先崎くんが席に戻っていくと、ひとり、またひとりとクラスメイトが登校してきた。
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