ワケアリ無気力くんが甘いです
「私こそありがとう」
「うん。……あー、私もヤコちゃんと同じ班が良かったなぁ」
「ギリギリ違う調理班だもんね」
「出席番号順で決めなくていいのにっ」
膨れっ面のかんちゃんの顔を手を伸ばし両手でしぼませる。
「……あ!マフィン、見せてくる!可愛いから!」
「え、見せ……?あ、かんちゃんお弁当っ……!」
思い立ったのか急に立ち上がったかんちゃんは、自分のマフィンと私があげたマフィンを手に走っていってしまった。
でも、ちゃんとお弁当箱は空っぽ。
見せるって他のクラスの子かな。あげるならわかるけど……見せるだけなんだ。食いしん坊さんのかんちゃんらしい。
そう言えば、マフィンを見せたりあげたりで、いつもより人少ないかも……。私は特に配らないし、持ち帰ってお母さんたちにあげるくらいだ。
……どうしよ。先にデザートのマフィン食べてようかな。
まだかんちゃんは戻らないだろうと、お弁当を包み、マフィンに手を伸ばした時、頭に何かがぶつかった。
そして、その何かが机に落ちてくる。
「……ん?」
視線を落とせば、4つ折りにされた白い紙があった。