ワケアリ無気力くんが甘いです
そして、すぐにカウンターのそばに行こうとしたのだけど……
「夜子ちゃーん!」
「っ!?」
カウンター横にある扉から出てきたお兄さんにが飛びついてきた。
「やだぁ会いにきてくれたのー!?」
「お、お兄さっ……」
「もー!の・ぞ・みちゃんって呼んで!」
何故かぎゅうぎゅうに抱き締められるも、見た目が見た目だけに、全く動じない私がいる。
でも私を抱きしめる手がすぐにゆるんだ。
「兄貴じゃなくて、俺に会いに来てもらったの。はやく離して」
グッ、と先崎くんの手がお兄さんの腕を掴んでいたからだ。とても店番してるとは思えない形相の先崎くんに、お兄さんは口を尖らせる。
「何よっ、いいでしょ仲良くしたって。ケチ弟め」
こちらもこちらで、お兄さんも負けじとかわいらしい顔を歪める。
……バチバチとする兄弟の視線。
だけど、あるものを見て先崎くんはその視線をずらした。