ワケアリ無気力くんが甘いです

「……それ、つけてるんだ」


それ、と先崎くんが指したのは、はじめてお店に来た時に買った──先崎くん手作りのぬいぐるみキーホルダーのこと。はじめて鞄につけてみた。


「うん。普段はなくすと嫌だからポーチとかにつけてるけど、たまには外につけてみようかと……落としてないかすごい気にしながら来ちゃった」
「そ、それは!!優麗の……ぬいぐるみ!?やだぁ!」


お兄さんは顔を押さえ、首を振った。


「何がやだなの」
「優麗のだけずるーい!……アタシのもなんかつけてもらいたい」


──ん!?今、声が……低かったよ、ね?


「何ガチトーンの声出してんの。知り合ってまだ2回しか会ってないのに」
「女の子同士!絆を深めたいの!」
「俺に姉は居な──」
「おだまり」


お兄さんが先崎くんの口をおさえ、それの手を開かせようとする先崎兄弟の攻防がはじまった。
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