ワケアリ無気力くんが甘いです



先崎くんのお部屋に入って、前と同じように並んで床に腰をおろすと、先崎くんはなんともいえないような顔をしていて。


「お、お母様、綺麗だね」
「そう?ハイテンションで困るよ。フジを連れてきた時よりすごかった」
「そういえば、藤田くんとは遊ぶんだよね?夏休み中」


あんなに寂しいとか言われてたし、先崎くんは冷たくあしらってる感じだったけど……。


「あー……多分」


た、多分なんだ。


「毎日知らぬまにメッセージ入っててうざいんだよね。……今も店番してたし、無視する時もあるから……うわ」


ポケットからスマホを出した先崎くんは嫌な顔をすると、無言で私の方に向けた。


「18件……」


メッセージも着信も含め、だけど。


「いちいち寂しいだの悲しいだの送ってくるんだよね。……そして、極めつけはこれだよ」


"僕と夏、どっちが大事なの!?"──っていうスタンプ。
先崎くんの顔がどんどん歪んでいく。
既読をつけた手前、なんて返すのか気になるけど、先崎くんはただ一言だけ──

"夏"と返していた。


「ほんとイミフ」
「あはは……藤田くんらしいね」


返しもまた先崎くんらしいし。
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