推しが近所に住むなんて聞いてません!
有元さんとは千葉の方へドライブし、お昼ご飯を食べて過ごした。会社の話や、趣味の話などで盛り上がった。

お昼の後、「そろそろ海いこっか」と言われ、再び、車に乗る。

エンジンをかけると車に搭載されたテレビに見慣れた顔が映る。

『お次はCandyBoys★の皆さんでーす』
というアナウンスに導かれ、猫屋くんたちが登場する。

「あ、この人たち最近女性にすごい人気だよね。特にこの子。桜田さんも興味ある?」

そう言って有元さんが指さしたのは、弾ける笑顔でパフォーマンスを行う猫屋くん。

「あ、はい少しは…」

また、濁してしまった。楽しかったのに、複雑な感情が沸々と湧いてくる。
今頃、猫屋君どうしてるかな?お仕事かな。と頭の中でぐるぐる考える。
最後にあった時の悲しそうな顔が浮かぶ。もう一度話したい。話したいけど辛い。
しばらく呆然としてしまっていた。

「...さん桜田さん?」

有元さんの声でハッとする。ずっと呼んでいてくれたのだろうか。

「あ、す、すみません!考え事を..」
そういうと有元さんは少しだけ悲しそうに微笑んでまっすぐ前を見つめながら

「もしかして好きな人のこと考えてた?」
と聞いてくる。
図星だ…。と思ったが、せっかくのデート中に失礼だと思って、
「いえ!今日の夕飯どうしようかな、って考えてました。」
と笑顔で回答するが、有元さんはその嘘も見破っている様子だ。
それでも、「そっか!」と笑って返してくれた。
「もう海着くよ。」
そう言って、有元さんは車を止める。
車から降りると、陽の光を反射して深い青色の海がキラキラと輝いていた。
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