推しが近所に住むなんて聞いてません!
私、今有元さんとキスしてる。砂浜の向こうに人影が見える。立ち尽くす男性。あれは…猫屋君?猫屋君がここにいるわけ…。男性はそのまま後ろに走って行ってしまった。

バッ

「ご、ごめん!!!!」

そう言って有元さんが引き剥がしたところで、ハッとする。
先ほどの影はなんだったんだろう。猫屋君に見えたけど違うかな?
そんなことを考えつつ、有元さんに返事をする。

「あ、えとあの…」

「もう、こんなことはしない…約束する。本当に悪かった。最低だ僕は…」

「気にしないでください。事故ですから…」

そう返したが有元さんはそっぽを向いて

「事故じゃないよ。僕がしたくてしたんだ。」

「…」

沈黙が続く。とても気まずい。
5分くらい何も離さず座っていたものの、
「帰ろっか。送ってく。」

有元さんがそう言ってくれたので、車で家まで送ってもらった。
浜辺で見た人影のことが頭から離れないでいた。有元さんに少しドキドキしてしまっている自分もいる。
帰りの車ではほとんど話さなかったが、私の胸は落ち着かないでいた。

家まで送ってもらうと、有元さんは

「今日は本当にごめん。」
と深々と頭をさげ、
「また明日。」と笑って帰って行った。

有元さんが帰ると電信柱の影から誰かが出てくる。

その人影に思わず声をかけた。

「猫屋君…?」
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