推しが近所に住むなんて聞いてません!
猫屋くんをあの日助けてから、怒涛の日々だった。つい高校時代からの親友であり、同じくCandyBoys★を推している渡来紗枝 に連絡することを忘れていた。そんな最中、「今夜8時いつもの居酒屋集合!」という連絡が入った。基本私たちはお互いに友達は少ない方で、夜は空いている。なので「空いてる?」というような召集はしない。心を許している紗枝だけには猫屋くんを助けたこと、近所に住んでいたこと、そして、嘘をついていることを言わずにはいられなかった。
「…で?思わずファンじゃないと嘘をついたと?」
意外にも紗枝は一連の出来事に冷静だった。紗枝はワイルド系イケメンのマサキ推しのため、猫屋くんにはあまり興味はないのだろう。
「はい…つい」
「あんたも意外と策士だね〜〜それで?「面白え女ポジ」狙ってんだ?」
ニヤニヤと笑いながた話しかけてくる。
「そんなことないよ!...いや、まあそうなるか…。」
実際そうなのだ。猫屋くんがプライベートでのファンとの繋がりをいくら避けている上にプライベートでの態度が悪くてムカついたからとはいえ、実際、「有名でイケメンな自分を知らないファンではない面白え女ポジ」を狙ってしまっていることも事実なのだろう。
「まあ私は別に、誰にも言わないけどさ。ファンに目つけられたらめんどそうだね。有名アイドルの詮索なんて日々行われていることだしさ。プライベートで仲良い女がいるなんてなったら大変だよ。」
「うん。まあそれは気をつける。というより、猫屋くんが結構ガード固そうだから大丈夫かな?マスコミが近くにいること嗅ぎ付けて、すぐに知り合いの家に引っ越したぐらいだしさ。」
「でもあんたも、ライブはしばらく行けないんじゃない?下手にファンに顔覚えられても面倒だし、なんなら本人に見られる可能性もあるしさ。猫屋推しのファン多いし。私としては一緒に行く人がいなくて寂しいよ...」
「か、考えてなかった…!」
そう言われてハッとする。無意識に今まで考えないようにしていたが今までの生きる糧であったライブに行けなくなるのか。人生の生きる糧だった、CandyBoys★のライブに行けない…
絶望だ。もちろん猫屋くんが好きなのは間違い無いのだが、グループのパフォーマンス、ファンと共鳴したライブという空間が大好きだった。CandyBoys★のライブは、今時珍しく、全部生歌で、ダンスのクオリティも高かった。常に、ファンを喜ばせるため、直向きに努力を続けている姿勢が、本番のパフォーマンスから手に取るようにわかるのだ。
「まあ、ライブの感想はその都度教えるから。また進捗あったら教えてよ?推し活に人生捧げて、一度も恋愛したことないあんたにやってきそうな春がまさかその推しとはね!少女漫画かよ笑」
その後CandyBoys★について存分に語り合い、別れた。たまに会う紗枝との飲みはとても楽しい。楽しすぎてつい飲みすぎてしまう。
「今日は飲みすぎちゃったな…」
と一人で呟く。紗枝に猫屋くんとのことを話せてスッキリしたのか、グイグイと飲んでしまった。家まであと少しだが、足元がおぼつかない。
ぐらり、と空が遠くなる。今日は特に肌寒い。うわ、今寝たらやばい..と思いながらも、そのまま私は意識を失ってしまった。
薄れた意識の中で、「何やってんだよ、あんたこんなところで...死にたいのかよ」という心地よい声が聞こえた気がした。
ふわりと体が持ち上がり、寒さで張り詰めた体がふわりと暖かくなった。
「…で?思わずファンじゃないと嘘をついたと?」
意外にも紗枝は一連の出来事に冷静だった。紗枝はワイルド系イケメンのマサキ推しのため、猫屋くんにはあまり興味はないのだろう。
「はい…つい」
「あんたも意外と策士だね〜〜それで?「面白え女ポジ」狙ってんだ?」
ニヤニヤと笑いながた話しかけてくる。
「そんなことないよ!...いや、まあそうなるか…。」
実際そうなのだ。猫屋くんがプライベートでのファンとの繋がりをいくら避けている上にプライベートでの態度が悪くてムカついたからとはいえ、実際、「有名でイケメンな自分を知らないファンではない面白え女ポジ」を狙ってしまっていることも事実なのだろう。
「まあ私は別に、誰にも言わないけどさ。ファンに目つけられたらめんどそうだね。有名アイドルの詮索なんて日々行われていることだしさ。プライベートで仲良い女がいるなんてなったら大変だよ。」
「うん。まあそれは気をつける。というより、猫屋くんが結構ガード固そうだから大丈夫かな?マスコミが近くにいること嗅ぎ付けて、すぐに知り合いの家に引っ越したぐらいだしさ。」
「でもあんたも、ライブはしばらく行けないんじゃない?下手にファンに顔覚えられても面倒だし、なんなら本人に見られる可能性もあるしさ。猫屋推しのファン多いし。私としては一緒に行く人がいなくて寂しいよ...」
「か、考えてなかった…!」
そう言われてハッとする。無意識に今まで考えないようにしていたが今までの生きる糧であったライブに行けなくなるのか。人生の生きる糧だった、CandyBoys★のライブに行けない…
絶望だ。もちろん猫屋くんが好きなのは間違い無いのだが、グループのパフォーマンス、ファンと共鳴したライブという空間が大好きだった。CandyBoys★のライブは、今時珍しく、全部生歌で、ダンスのクオリティも高かった。常に、ファンを喜ばせるため、直向きに努力を続けている姿勢が、本番のパフォーマンスから手に取るようにわかるのだ。
「まあ、ライブの感想はその都度教えるから。また進捗あったら教えてよ?推し活に人生捧げて、一度も恋愛したことないあんたにやってきそうな春がまさかその推しとはね!少女漫画かよ笑」
その後CandyBoys★について存分に語り合い、別れた。たまに会う紗枝との飲みはとても楽しい。楽しすぎてつい飲みすぎてしまう。
「今日は飲みすぎちゃったな…」
と一人で呟く。紗枝に猫屋くんとのことを話せてスッキリしたのか、グイグイと飲んでしまった。家まであと少しだが、足元がおぼつかない。
ぐらり、と空が遠くなる。今日は特に肌寒い。うわ、今寝たらやばい..と思いながらも、そのまま私は意識を失ってしまった。
薄れた意識の中で、「何やってんだよ、あんたこんなところで...死にたいのかよ」という心地よい声が聞こえた気がした。
ふわりと体が持ち上がり、寒さで張り詰めた体がふわりと暖かくなった。