結婚なんて、ゼッタイお断り!
「お前さ、俺らの周りでなんて呼ばれてるか知ってる?」
「……何よ、いきなり」
「天下の大安寺組の“唯一の弱点”。お前のこと、みんなそう呼んでる」
「弱点……私が?」
「そう、あの大安寺組を落とすのは無理だ。でも、お前なら簡単に奪える」
「失礼ね、奪うって何よ!」
「大安寺組の孫娘であるお前を奪えば、少しは痛手を負わすことができる。だからみんな、大安寺 美桜を狙う」
「……っ!」
私が、おじいちゃん達の……弱点。
私の家族はみんな強いから、敵組織に何をされてもきっと負けない。
でも、私は違う。
大安寺っていう名前だけがどれだけ大きくても、私自身は弱い。
だから〝弱点〟なんだ。
「まぁでも、俺はお前をさらったりしない」
「じゃ、じゃあ何しに来たのよ!」
「──もっと別の方法で、奪いに来た」
「はぁ!?」