眠る彼女の世話係(改訂版)
 スマホに写されたのは彼女のインタビュー記事で、『リリアとリュカのしあわせのかたち』は、小学生のときに書いたものだったらしい。
 出版の前に流石に文章を直しはしたが、物語の内容自体は変えていないのだそう。
 その続きはまた話題が変わっていたから、俺は陽太にスマホを返した。

「内容はネタバレになるから喋んないけど、おれはこの物語が一番好き。まぁ重くて2人とも救いようのない物語だし、結末も少し乱暴だけどね」

 きらきらした目は一体どこに行ったのか、生暖かい眼差しで小説を見ている。

((本当に好きなんだなぁ……))

 たぶんこの時俺と陽太の思考はリンクしていたように思う。
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