眠る彼女の世話係(改訂版)
に
俺は大学の授業を終えて、やはり彼女の家に来ていた。本来は出勤日ではない。だけどなんとなく彼女が心配になって、顔だけでも見てから帰ろうと思ったのだ。
「……やっぱりこれ勝手に入っていいんかな」
重々しい扉に手をかけて、数秒悩む。具合悪くなってたら困るし、なんて言い訳を必死に考えている俺を犬の散歩中らしき男性が不審な目で見ているのに気がついた俺は、慌てて家に入った。
昨日掃除したばかりの部屋は埃ひとつないように思える。レースのカーテンを透かして入る光が、無機質に部屋を照らしていた。耳鳴りのしそうな静寂を通り過ぎて、3回部屋をノックする。反応は想像通りなかった。
「お邪魔します、りるはちゃん」
そろりと部屋入って彼女の寝顔を見る。
「……綺麗だ、本当に」
俺のでかい独り言に、眠っている彼女はなんの反応もしなかった。彼女が起きるまで待とうか、そんなことを考えていると、陸斗に借りた小説のことを思い出した。
(読んでみるか)
陸斗イチオシの『リリアとリュカのしあわせのかたち』。陸斗の言っていた通り小学生向けの児童書のようで、漢字にはルビが振ってあって、ですます口調で、印刷されている字が大きかった。
俺は彼女のベッドのそばで、あぐらをかいてその小説を読み始めた。
「……やっぱりこれ勝手に入っていいんかな」
重々しい扉に手をかけて、数秒悩む。具合悪くなってたら困るし、なんて言い訳を必死に考えている俺を犬の散歩中らしき男性が不審な目で見ているのに気がついた俺は、慌てて家に入った。
昨日掃除したばかりの部屋は埃ひとつないように思える。レースのカーテンを透かして入る光が、無機質に部屋を照らしていた。耳鳴りのしそうな静寂を通り過ぎて、3回部屋をノックする。反応は想像通りなかった。
「お邪魔します、りるはちゃん」
そろりと部屋入って彼女の寝顔を見る。
「……綺麗だ、本当に」
俺のでかい独り言に、眠っている彼女はなんの反応もしなかった。彼女が起きるまで待とうか、そんなことを考えていると、陸斗に借りた小説のことを思い出した。
(読んでみるか)
陸斗イチオシの『リリアとリュカのしあわせのかたち』。陸斗の言っていた通り小学生向けの児童書のようで、漢字にはルビが振ってあって、ですます口調で、印刷されている字が大きかった。
俺は彼女のベッドのそばで、あぐらをかいてその小説を読み始めた。