Drive Someone Nuts
「私だって自分のあほさと鈍感さに驚いたのよ」
「そのあほさが似てたから今回デートしたんだもんねえ。いいやないのー」

 いきなりテレビで見るような関西弁を話す美香子はどことなく上機嫌だ。その随分と上からな態度に少々不貞腐れたような気持ちになる。同じようにはちみつレモンの酎ハイを煽った。頭がふわふわする。

「…美香子にやにやしすぎ」
「あ、ばれた?」
「ばれてる」

 美香子は卓上のピーナッツを摘まんで口に放り込んだ。ぼりぼりと小気味いい音が鳴る。

「だって嬉しいんだもーん。それに」
「それに?」
「嬉しいんだよ、私は。だって前付き合ってた人とはなんかうまくいってなかったじゃん。あの時の絢なんか人形みたいだったし」
「…人形」
「なんか顔がさ、貼りつけたみたいな、楽しそうにしてるだけみたいな。だからちょっとその前から気にしてた。まさかあんなことになってるなんて思わなかった」
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