Drive Someone Nuts
 恐る恐る高瀬の様子を伺う美香子の瞳の奥には若干の罪悪感が滲んで見えた。
 柿ピーの、柿の部分をつまむ。ぱり、と辛みとうまみが広がった。安心させるように柔らかい声で否定した。

「ううん、それはない。絶対欲しいというモチベーションではないけど前向きだよ」

 いい人がいれば、だったのがもしこのままうまく行けば…なくらいには岡田さんと過ごした今日は楽しかった。

「そっか、うん、良かった!じゃあ今日は飲もう飲もう」
「飲もうっていうわりにピーばっかり食べてるじゃん」
「柿ピーって偏らない?気付いたら柿ばかり残ってんだよね」

 確かに。偏る。
 偏食ってわけでもないがどっちかというとそっちが好き、みたいな状況だと片方の種類を残しがちだ。
 美香子は話を戻すように仕切り直しと言わんばかりにまた缶酎ハイを開けた。二本目である。

「そういえば岡田さん大学生なんだよね?どこの」
「えっと、〇〇大学の経済学部だって」
「そうなの?私の仲良い知り合いに丁度いるわ、聞いてみよっかな…」

 気付いたらお互い缶酎ハイを何本か開けていて、呂律も回らなくなっていた。
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