Drive Someone Nuts
 どうして―――のことを知ってるの?


 その間にも取り留めのないなんの脈絡もない話をしていた。受け答えも適当だったと思う。先ほどの呟きが頭を掠め、開いた心の距離に焦る事もできなかった。好きかもという気持ちもお酒のせいか制御できなくてふわふわとする。でもどこか頭は冷えている。難しいことは考えたくない。なりかけた好きがどこに着陸するのかわからない。予想すらもせずにただ曖昧に笑う。

 この日を境に岡田さんはぱったりと姿を消した。燻った恋心が苦しくてさめざめと泣いた。追い打ちのように美香子から○○大学には岡田蓮司という人間は在籍していないことを知らされた。急いで聞いていた住所に向かうも違う住人が住んでいたこと。バイト先であるカフェにも一切現れなかった。幻覚のように一切の痕跡を残さず彼は消えた。彼は誰で何の目的で私と接触していたのだろうか。最後に漏らしたあの本音がきっと全ての始まりなのだと今では分かる。言葉では受け入れるそぶりをしたにも関わらず、失恋である。

 打算があったとしてもあの優しさで久々に異性に心を開けることができ、安らげることを知ってしまった。彼は毒だったと最後の最後に気付いたけれど恋しい。
 毒だと知っていても探すことを諦められない私を笑ってくれ。

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