Drive Someone Nuts
「だからといってアプリの写真で細部まで見る人いないでしょう。載せる写真に多少の加工もあったりするじゃないですか。さらっと見てかわいいし面白いから会ってみたいって思ったんですよ」
「な、なるほどなー」
「好きな本の話もしてみたかったですしね、気が合いそうというか」
「それは私も思ってて」

 話が広がりそうと思ったら、オマタセシマシター、とタイカレーが運ばれてきた。ココナッツミルクの甘い香りと香辛料の入り混じった匂いがふんわりと広がった。目の前に出されると丸い米の周りにゴロゴロと野菜が入っていて食欲をそそる。舌がじんわり湿っていく。

「美味しそう…」

 いただきます、とお互い手を合わせてスプーンで掬って頬張った。思わず表情が緩む。彼の顔はほっとしたように強張りが溶けていた。

「どう?」
「うん。ココナッツミルクの甘味の後にスパイスががつんときてとっても美味しい」
「良かった、高瀬さんの口にあって。結構好き嫌い別れるじゃないですか。苦手な人も多いと思うし」
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