残念姫、王子に溺愛される
歩稀の車の後部座席。
そこに今二人は、並んで座っている。

そして歩稀は身体ごと恋羽の方を向き、頭を撫でたりして恋羽を愛でていた。

愛しくて、堪らない――――――

恋羽も照れて顔を赤くしながら、歩稀をジッと見つめていた。


想いが溢れて、また涙が溢れた。

そうか……
私はあのパーティーの日に既に……

歩稀さんに惚れていたんだ。

過去の歩稀さんに、目を逸らしたくなる事実があっても……歩稀さんの傍にいたい。

“今目の前にいる”歩稀さんを信じたい。

そう思えたのだ。


「また、泣いてる(笑)
可愛いなぁ…!」

歩稀が、恋羽の頬を包み込んだ。
そして………ゆっくり顔を近づける。

自然と恋羽も目を瞑り、二人の口唇が重なった。
離れて、またチュッチュッと何度も啄む。

「恋羽、口…開けて…?」
深いキスを交わした。

そして、額と額をコツン…とくっつけた歩稀。
「恋羽とのキス、気持ちい…」

「……/////」
(私も…気持ちい…/////こんなキス、初めて…//////)

「………」

「……/////」

「恋羽、それ…誘ってる?」

「え?」

「それとも、無意識?」

「え?えーと……よくわかりません…」

「無意識なんだ、これ…
無意識で、こんな……」

「え?え?」

「恋羽、物欲しそうな顔してる」

「え!?」
(物欲しそうな顔って……//////)

「顔や耳まで赤く染めて、目は潤んで、僕から目を逸らさない。
誘ってるとしか思えないでしょ?」

「あ、も、申し訳ありません!」
謝罪し、視線を逸らす。

「あ!だからって、逸らさないでよ!」

「あ…/////」
歩稀に向き直させられる。

「ねぇ…恋羽のこと、教えて?」

「え?」

「どんな物にハマってて、休日はどんな風に過ごして、どんな男が好きで、好きな食べ物、嫌いな食べ物……
恋羽の全てが知りたい。
恋羽の全てを僕のモノにしたい」

「……/////
私も…知りたいです/////歩稀さんのこと」

「うん!
これから、沢山知り合ってこうね!」

二人は微笑み合い、もう一度キスを交わした。


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