残念姫、王子に溺愛される
緋月に、歩稀と交際を始めたことを伝える。

「………そう…」

緋月は、ポツリと一言だけ言った。

「緋月くんが、心配してくれてるのは嬉しい」

「うん」

「でも……
私の人生だから……!」

「恋羽…」

「私の人生だから、私が決める…!」

恋羽の真っ直ぐな視線と思いに、緋月も大きく頷いた。


後日。
歩稀にデートに誘われた、恋羽。

歩稀が迎えに来て、助手席に乗り込んだ。
「ごめんね、遅くなっちゃった!
急に父さんに呼ばれて…
待ちくたびれたよね…」

「いえ!
胸がいっぱいなので、大丈夫です!」

「……/////」

「ん?歩稀さん?」

「恋羽って、すっごいの落としてくるよね…(笑)」

「え?」

「無自覚なのが、またズルいし…」

「え?え?」

「ううん!」
微笑み首を横に振る歩稀に、恋羽は首を傾げていた。


――――――――――
――――――…………………

デパートの地下駐車場に入っていく。

「あれ?」
それを見て、不思議そうに歩稀を見る。

「ん?」

「歩稀さんのマンションに行くのでは?」

「フフ…僕のマンションは、ショッピングしてからね!」
前を向いたまま、歩稀は微笑んだ。

地下駐車場に着き、運転席を降りた歩稀が助手席のドアを開ける。
「行こうか!」
そう言って、手を差し出してきた。

「はい//////」
ドアの淵に頭をぶつけないように庇いながら、降ろしてくれた。

そしてそのまま指が絡まってきて、手を繋がれた。

季節は夏真っ盛り。

「地下って、暑いね…(笑)」
そう言って苦笑いする歩稀を見上げ、恋羽も微笑んだ。

デパート内に入り、すぐにエレベーターに乗り込んだ。
扉が開くと、歩稀が扉が閉まらないように押さえ恋羽を先に中に入れた。


“歩稀って、本当に王子みたいなんだよね(笑)”

そんなスマートな歩稀を見つめながら、恋羽は緋月が昔言っていた言葉を思い出した。



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