残念姫、王子に溺愛される
“十人十色”という、四文字熟語がある。

その漢字の通り、一人一人感じ方や個性が違うという意味の四文字熟語だ。

いくら恋羽が地味でも、そんな恋羽を“可愛い”や“綺麗”と感じる者もいるだろう。

恋羽に恋心を持つ人も………

恋羽は、歩稀の前に二人の恋人がいた。
一人は話したように恋羽を財布のように利用していた男。
そしてもう一人は、その前に交際していた男性だ。

彼も財閥の御曹司で、容姿は飛び抜けてイケメンというわけではなかったが、性格がとても明るく、穏やかで人気者だった。

彼も、恋羽のことを“可愛い”と言ってくれていた。

高校生の頃、二年程交際し、卒業と同時に別れた。


――――――――――
――――――…………………

食事が終わり、ゆっくりして恋羽は迎えを待っていた。
ソファに並んで座り、歩稀に愛でられている恋羽。

「可愛い…可愛いなぁ…!」

「……/////」
恋羽は、照れながらも歩稀から目が離せずに見つめていた。

「恋羽は、目を逸らさないよね(笑)
耳まで真っ赤にしてるのに」

「目を逸らすと、もったいないので(笑)
歩稀さん、とっても綺麗だから!
綺麗はモノは、ジッと見てたいです!
綺麗な夜景とかをジッと見てるのと同じってゆうか……」

「フフ…ほんと、真っ直ぐだね!君は」

「あ、でも、もし見られるのがお嫌なら……」

「ううん!
見つめ合ってようよ!」

「はい…//////」

しばらくして、恋羽のスマホに連絡が入った。

「あ、ちょっとすみません」
確認すると、緋月からメッセージが入ってきた。

【もうすぐ着くから、下に降りておいで?】

【お迎え、どうして緋月くんが?】

【いいから。
歩稀と一緒に、降りてきて?】

恋羽の様子がなんとなく変で、歩稀は恋羽の髪の毛を耳にかけながら「どうしたの?」と問いかけた。

「あ、お迎え、緋月くんが来てくれてるみたいです。
歩稀さんと一緒に降りておいでって」

「緋月が?」

二人は、一緒にマンションを出た。


< 15 / 48 >

この作品をシェア

pagetop