残念姫、王子に溺愛される
歩稀と恋羽がマンション前に出たあたりで、ちょうど緋月が運転する車が着いた。
運転席から出てきて「お待たせ!」と微笑み、軽く手を上げた緋月。
「緋月くん、わざわざありがとう!
でも、どうして?」
「うん。
恋羽、助手席乗ってて?」
恋羽の頭をポンポンと撫で、助手席のドアを開けた緋月。
恋羽を促した。
「う、うん。
あ、じゃあ歩稀さん!
楽しい時間をありがとうございました!」
丁寧に頭を下げると、歩稀も微笑み「こちらこそ!また連絡するね!」と軽く頬にキスを落とした。
「……/////」
恋羽は照れたように微笑み、車に乗り込んだ。
ドアを閉めると、歩稀を見据えた緋月。
「ちょっと、い?」
車から少し離れる。
「何?」
「“信じていいんだよね?”」
意味深に言う、緋月。
「今俺が“信じて”って言ったとして、緋月は信じてくれるの?」
「信じる」
「そう(笑)
いいよ。信じてくれなくて。
それだけのことをしたのは俺なんだし、緋月を傷つけたもんね」
「………」
「でも“恋羽のことは”信じてあげてよ」
「え?」
「恋羽の気持ち。
俺のことが好きって気持ちを信じてあげて?
それなら、出来るよね?」
「………そうだね」
「ねぇ、俺からも一つい?」
「何?」
「緋月にとって“恋羽はどんな存在なの?”」
「え?」
「前に“大切な人”って言ってたよね?
あの時、特別感みたいなの感じた。
恋羽は“私のこと女として見てない”って言ってたけど、俺には“一人の女性として”大切な人って聞こえたから」
「………妹…みたいな存在」
「そう?」
「でも……」
「え?」
「絶対に、失いたくない人」
「………は?」
「言葉通りの人だよ。
僕にとって宝物みたいな人なんだ。
上手く言えないけど……」
「よくわからない。
“女として見てないけど、大切な宝物”なんだよね?」
「そうだよ。
中学の時、僕の両親が離婚したのは知ってるよね?」
「うん」
「離婚前、喧嘩ばっかでさ。
喧嘩してる間は、いつも姫乃原の屋敷にいたんだ。
その時に癒してくれたのが、恋羽。
恋羽のおかげで、僕は前向きに生きてこられた。
……………だから恋羽には、誰よりも幸せになってほしいと思ってるんだ」
緋月の優しい雰囲気に、とてつもない嫉妬心が芽生えた歩稀。
無意識に拳を握りしめていた。
運転席から出てきて「お待たせ!」と微笑み、軽く手を上げた緋月。
「緋月くん、わざわざありがとう!
でも、どうして?」
「うん。
恋羽、助手席乗ってて?」
恋羽の頭をポンポンと撫で、助手席のドアを開けた緋月。
恋羽を促した。
「う、うん。
あ、じゃあ歩稀さん!
楽しい時間をありがとうございました!」
丁寧に頭を下げると、歩稀も微笑み「こちらこそ!また連絡するね!」と軽く頬にキスを落とした。
「……/////」
恋羽は照れたように微笑み、車に乗り込んだ。
ドアを閉めると、歩稀を見据えた緋月。
「ちょっと、い?」
車から少し離れる。
「何?」
「“信じていいんだよね?”」
意味深に言う、緋月。
「今俺が“信じて”って言ったとして、緋月は信じてくれるの?」
「信じる」
「そう(笑)
いいよ。信じてくれなくて。
それだけのことをしたのは俺なんだし、緋月を傷つけたもんね」
「………」
「でも“恋羽のことは”信じてあげてよ」
「え?」
「恋羽の気持ち。
俺のことが好きって気持ちを信じてあげて?
それなら、出来るよね?」
「………そうだね」
「ねぇ、俺からも一つい?」
「何?」
「緋月にとって“恋羽はどんな存在なの?”」
「え?」
「前に“大切な人”って言ってたよね?
あの時、特別感みたいなの感じた。
恋羽は“私のこと女として見てない”って言ってたけど、俺には“一人の女性として”大切な人って聞こえたから」
「………妹…みたいな存在」
「そう?」
「でも……」
「え?」
「絶対に、失いたくない人」
「………は?」
「言葉通りの人だよ。
僕にとって宝物みたいな人なんだ。
上手く言えないけど……」
「よくわからない。
“女として見てないけど、大切な宝物”なんだよね?」
「そうだよ。
中学の時、僕の両親が離婚したのは知ってるよね?」
「うん」
「離婚前、喧嘩ばっかでさ。
喧嘩してる間は、いつも姫乃原の屋敷にいたんだ。
その時に癒してくれたのが、恋羽。
恋羽のおかげで、僕は前向きに生きてこられた。
……………だから恋羽には、誰よりも幸せになってほしいと思ってるんだ」
緋月の優しい雰囲気に、とてつもない嫉妬心が芽生えた歩稀。
無意識に拳を握りしめていた。