残念姫、王子に溺愛される
「―――やっぱ定番な、夫婦茶碗とかですかね?」

後日。
歩稀と恋羽は、デパートに結婚祝いのプレゼントを買いに向かった。

「そうだね!
これは、箸もセットみたいだよ!」

「ほんとだ!
素敵……!」
(こうゆうの、いいなぁ…///////)

「欲しい?」

「え!?/////」

「そんな顔してるよ!可愛いな〜」

「……/////」

「僕達も買おうか!」

「あ…/////
良いですか?」

「もちろん!
どのセットがいいかな?」

「……/////」
色んな種類のセットを見比べている歩稀を見つめる、恋羽。
(綺麗…//////)

「恋羽、これなんかどうかな?
…………ん?」

「あ…/////」
こちらを向いた歩稀と目が合う。

「あ、考えてないね?(笑)
僕を見てても決まらないよ?」

「ごめんなさい!
えーと……先に緋月くん達のを決めましょう!」


そして――――緋月夫婦の分と自分達の分を購入し、カフェで休憩をする。

「良いのが買えましたね!」
「そうだね!」

微笑み合って、恋羽が「緋月くん、喜んでくれるかな」と言う。

「………」
恋羽のこんな些細な言葉でさえ、ヤキモチを妬いてしまう。
また、歩稀の中にモヤモヤした気持ちが出てくる。

「でも、なんか…あまり嬉しそうじゃないんですよね……」
すると恋羽が困ったように、アイスコーヒーの氷をストローで突付いた。

「え?そうなの?」

「はい。
なんだか、心ここにあらずなことが多いし…」

「そうなんだ…
…………ん?てか、そんな頻繁に会ってるの?」

「え?」

「いや、なんか…そんな口ぶりだから…」

「緋月くんが、姫乃原グループで社長秘書で働いてることは知ってますよね?」

「うん」

「だから、父とよく一緒に帰ってくるんです。
緋月くん、父の秘書ですから。
それで夕食を一緒することが多くて」

「そっか」

「…………歩稀さん?」
歩稀の様子がなんとなくおかしくて、顔を覗き込んできた恋羽。

「ねぇ…恋羽にとって、緋月ってどんな存在?」

歩稀は、恋羽を見据え言った。



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