残念姫、王子に溺愛される
『今、ご自宅にお送りしました』
真田から連絡を受け、ホッと肩を撫で下ろす歩稀。
今、会社の喫煙所にいる。
自分でも、心配症だと思う。
しかし離れている間、不安で堪らない。
一人で外に出て、事故に遭ったらどうしよう。
そして………
何かの形で“緋月に連れ去られてしまったらどうしよう”と。
「あーーー!!!
なんで、こんな好きなんだ?俺は……!!」
「うるさいよ!常務。
てか、常務がこんなとこで煙草なんか吸ってていいの?」
「え?あ…タツシか!」
大学の時からの友人で、同時に歩稀の会社に就職した男だ。
「今度は何?
愛しい愛しい姫乃原の令嬢に、とうとうバレたの?歩稀が悪魔ってこと。
えーと……残念なお姫様だっけ?」
「は?
てか、その言い方やめろよ」
「あ、ごめん!
お姫様!
あ、もう…知ってるんだっけ?
“天性の王子”は“地獄の悪魔”ってこと(笑)」
「………」
「でも、緋月のやつも可哀想だよなぁー」
「は?」
「歩稀、おかしいと思ったことないの?」
「何が?」
「だって、緋月の幼なじみなんだよね?
お姫様」
「あぁ」
「なのに!
歩稀は、あのパーティーまで会ったことなかった。
話でしか知らなかったんでしょ?
緋月とは、中学生ん時からの友達なのに。
…………それって緋月が“わざとに”お姫様を紹介しなかったってことでしょ?どう考えても。
普通なら、一度くらい会ったことあってもおかしくない」
「そうだな」
「緋月にとって“それくらい”大事な女ってことじゃん、それ。
なのに、今はじゃ…歩稀の婚約者。
だから“緋月が可哀想”って言ったの!」
“僕にとって宝物みたいな人なんだ”
「だったら……
“最初から”恋羽を手に入れてるだろ?普通」
「でも“お姫様が、緋月に対して幼なじみとしてしか見てない”かもじゃん?」
「その可能性あるけど……」
「ずっと緋月が囲ってたらしいし!」
「は?
“囲う?”」
「お姫様、大学一年の時に男に騙されたらしくて、人間不信になってたんだって。
それでしばらく、緋月が囲ってたらしいぞ?
毎日、大学の送り迎えしてたらしい」
「あ…確か、酷く傷つけられた話は少し聞いた。
………って、なんでそんなことタツシが知ってるの?」
「だって俺の高校の時の後輩が、お姫様と大学の同期なんだもん。
お姫様、歩稀と付き合うようになって“綺麗になった”って評判らしいよ?」
真田から連絡を受け、ホッと肩を撫で下ろす歩稀。
今、会社の喫煙所にいる。
自分でも、心配症だと思う。
しかし離れている間、不安で堪らない。
一人で外に出て、事故に遭ったらどうしよう。
そして………
何かの形で“緋月に連れ去られてしまったらどうしよう”と。
「あーーー!!!
なんで、こんな好きなんだ?俺は……!!」
「うるさいよ!常務。
てか、常務がこんなとこで煙草なんか吸ってていいの?」
「え?あ…タツシか!」
大学の時からの友人で、同時に歩稀の会社に就職した男だ。
「今度は何?
愛しい愛しい姫乃原の令嬢に、とうとうバレたの?歩稀が悪魔ってこと。
えーと……残念なお姫様だっけ?」
「は?
てか、その言い方やめろよ」
「あ、ごめん!
お姫様!
あ、もう…知ってるんだっけ?
“天性の王子”は“地獄の悪魔”ってこと(笑)」
「………」
「でも、緋月のやつも可哀想だよなぁー」
「は?」
「歩稀、おかしいと思ったことないの?」
「何が?」
「だって、緋月の幼なじみなんだよね?
お姫様」
「あぁ」
「なのに!
歩稀は、あのパーティーまで会ったことなかった。
話でしか知らなかったんでしょ?
緋月とは、中学生ん時からの友達なのに。
…………それって緋月が“わざとに”お姫様を紹介しなかったってことでしょ?どう考えても。
普通なら、一度くらい会ったことあってもおかしくない」
「そうだな」
「緋月にとって“それくらい”大事な女ってことじゃん、それ。
なのに、今はじゃ…歩稀の婚約者。
だから“緋月が可哀想”って言ったの!」
“僕にとって宝物みたいな人なんだ”
「だったら……
“最初から”恋羽を手に入れてるだろ?普通」
「でも“お姫様が、緋月に対して幼なじみとしてしか見てない”かもじゃん?」
「その可能性あるけど……」
「ずっと緋月が囲ってたらしいし!」
「は?
“囲う?”」
「お姫様、大学一年の時に男に騙されたらしくて、人間不信になってたんだって。
それでしばらく、緋月が囲ってたらしいぞ?
毎日、大学の送り迎えしてたらしい」
「あ…確か、酷く傷つけられた話は少し聞いた。
………って、なんでそんなことタツシが知ってるの?」
「だって俺の高校の時の後輩が、お姫様と大学の同期なんだもん。
お姫様、歩稀と付き合うようになって“綺麗になった”って評判らしいよ?」