残念姫、王子に溺愛される
「ただいま!恋羽ー」

仕事が終わり、自宅マンションに着く。
声をかけながら、リビングへ入る。

「歩稀さん、おかえりなさい!」
微笑み、駆け寄ってきた恋羽。

両手を広げる歩稀に抱きついた。

「フフ…可愛い!」

歩稀は、軽くキスを落とし「着替えてくるね!」と頭をポンポンと撫でた。

クローゼット前で着替えていると、恋羽が声をかけてきた。
「歩稀さん」

「ん?」

「あの…」
何やら言いにくそうにモジモジしている。

「ん?なぁに?」
シャツを着ながら、微笑み近づく。

「こ、これ!」
恋羽は、歩稀にプレゼントを差し出した。

「え?
これ…は?」

「歩稀さんに、似合うかなって思って!
受け取ってくれる?」

「……/////」

「歩稀さん?」

「あ…/////あまりにも嬉しくて、固まっちゃった(笑)」

「え?//////」

「……………初めて知ったよ」

「え?」

「プレゼントを受け取って、こんなに嬉しいなんて初めて知った!」

「歩稀さん…//////」

「…………あ…そうか…」
(本気で好きになると、どんなことでも幸せに感じるんだ……!)

歩稀は両手でプレゼントを受け取り、一度大切そうに抱き締めた。
そして、丁寧に封を開けた。

中に入っているネックレスを「わぁ…綺麗だね!」と微笑み取り出してそれを身につけた。

「どう…かな?」

「素敵…/////
思った通り、似合うよ!」

微笑み見上げると、歩稀が顔を近づけてきた。
自然と恋羽も目を瞑る。

チュッとリップ音をさせて、キスを交わした。
「恋羽、ありがとう!
何か、お礼させて?」

「え?そんなの、いらないよ?
私の方が、いつも沢山してもらってるし…」

「ダーメ!
何がいいかな?」

「でも、本当に何も……」

「じゃあ…考えておいて?」

そしてリビングに戻り、夕食を食べることにした二人。

「恋羽、いただきます!」
手を合わせて恋羽にきちんと伝え、食べ始めた歩稀。

食事をしている姿も、所作など全て美しい。
いつも恋羽は、そんな歩稀に見惚れている。

「……/////」

「ん?なぁに?」

「え…//////」

「ジッと俺を見てても、お腹は満たされないよ?」

「あ…//////」

「あ、でも、確か“胸はいっぱいになるんだっけ?”(笑)」

クスクス笑う歩稀に、恋羽もつられるように笑った。


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