残念姫、王子に溺愛される
真田が発進するのを待っていると、タツシが窓をコンコンとノックする音が聞こえてきた。
窓を開け、恋羽が微笑み首を傾げる。
「今度、一緒に遊ばない?」
「え?
遊ぶ?ですか?」
「うん!
えーと……あ!そう!花見!
花見行こうよ!
歩稀も一緒に!
あと、緋月やマリホも誘ってさ!」
「お花見…
フフ…素敵ですね!是非!」
微笑むと、タツシも嬉しそうに笑った。
「――――は?タツシ?」
『はい。
恋羽様にそれとなくお聞きしたら、今日タツシさんは半休だったらしくデパートで暇を潰していたと…』
「そうか…」
『それと、タツシさんに花見に誘われてました。
もちろん、歩稀様や緋月さん、マリホさんも一緒にですが』
「は?」
『おそらく、今日お帰りになった時に恋羽様から言われるかと…』
真田から、毎回報告を受けている歩稀。
思いがけない人物の名前が出て、また処理出来ない嫉妬心が顔を出す。
髪をかき上げて、グシャッと握りしめた。
車で自宅マンションに帰り、声をかけながら中に入る。
「恋羽ー、ただいまー!」
恋羽には、いつも余裕を持った紳士でいたい。
心の中でこんなドロドロした嫉妬を秘めているなんて、知られたくない。
穏やかに微笑み、リビングへ入る。
「歩稀さん!おかえりなさい!」
パタパタ…と駆けてくる恋羽に向かって、両手を広げて待つ。
恋羽は嬉しそうに、抱きついた。
頬を擦り寄せ、恋羽の頰を包み込んだ。
顔を近づけると、恋羽もゆっくり目を瞑った。
チュッ、チュッと啄んで、そのまま深くなる。
歩稀は無意識に嫉妬心と独占欲が溢れ出し、夢中で貪った。
「んん…はぁ……ん、歩稀さ…」
いつもと違うキスに、思わず押し返してしまう恋羽。
「恋羽、何、この手」
押し返した手を掴まれ、鋭く見つめられる。
「え…」
「キスの邪魔しないで。
はい、口!開けて?舌、ちょうだい」
「歩稀さん、ちょっと待って…
なんか……」
「なんか、何?」
「………」
(怖い……)
「恋羽って、ほんと可愛いよね」
「え……」
噛み合わない言葉が出てきて、思わず目をパチパチさせる。
“あの”タツシが、花見に誘ってきた。
自他ともに認める“面食い”のタツシが。
きっと恋羽の可愛い笑顔や、上品な仕草、柔らかな雰囲気に心が動いたからに違いない。
要は“惚れたんだ”
恋羽は、俺だけのモノなのに。
あー!!本当に……!!!
ムカつく……!!
窓を開け、恋羽が微笑み首を傾げる。
「今度、一緒に遊ばない?」
「え?
遊ぶ?ですか?」
「うん!
えーと……あ!そう!花見!
花見行こうよ!
歩稀も一緒に!
あと、緋月やマリホも誘ってさ!」
「お花見…
フフ…素敵ですね!是非!」
微笑むと、タツシも嬉しそうに笑った。
「――――は?タツシ?」
『はい。
恋羽様にそれとなくお聞きしたら、今日タツシさんは半休だったらしくデパートで暇を潰していたと…』
「そうか…」
『それと、タツシさんに花見に誘われてました。
もちろん、歩稀様や緋月さん、マリホさんも一緒にですが』
「は?」
『おそらく、今日お帰りになった時に恋羽様から言われるかと…』
真田から、毎回報告を受けている歩稀。
思いがけない人物の名前が出て、また処理出来ない嫉妬心が顔を出す。
髪をかき上げて、グシャッと握りしめた。
車で自宅マンションに帰り、声をかけながら中に入る。
「恋羽ー、ただいまー!」
恋羽には、いつも余裕を持った紳士でいたい。
心の中でこんなドロドロした嫉妬を秘めているなんて、知られたくない。
穏やかに微笑み、リビングへ入る。
「歩稀さん!おかえりなさい!」
パタパタ…と駆けてくる恋羽に向かって、両手を広げて待つ。
恋羽は嬉しそうに、抱きついた。
頬を擦り寄せ、恋羽の頰を包み込んだ。
顔を近づけると、恋羽もゆっくり目を瞑った。
チュッ、チュッと啄んで、そのまま深くなる。
歩稀は無意識に嫉妬心と独占欲が溢れ出し、夢中で貪った。
「んん…はぁ……ん、歩稀さ…」
いつもと違うキスに、思わず押し返してしまう恋羽。
「恋羽、何、この手」
押し返した手を掴まれ、鋭く見つめられる。
「え…」
「キスの邪魔しないで。
はい、口!開けて?舌、ちょうだい」
「歩稀さん、ちょっと待って…
なんか……」
「なんか、何?」
「………」
(怖い……)
「恋羽って、ほんと可愛いよね」
「え……」
噛み合わない言葉が出てきて、思わず目をパチパチさせる。
“あの”タツシが、花見に誘ってきた。
自他ともに認める“面食い”のタツシが。
きっと恋羽の可愛い笑顔や、上品な仕草、柔らかな雰囲気に心が動いたからに違いない。
要は“惚れたんだ”
恋羽は、俺だけのモノなのに。
あー!!本当に……!!!
ムカつく……!!