冷徹大臣の雇われ妻~庶民出身成り上がり女官の次の就職先は伯爵夫人ですか~
(相変わらず、とてもきれいなお部屋ね)

 執務室は整理整頓が行き届いていた。

 片付けが苦手なため、散らかっているセレスタンの執務室とは大違いだ。

 一礼をして、リリアンは足を踏み入れる。

「こちら、財務大臣殿に……ということでございます」

 預かった封筒を手前の応接テーブルに置いた。

 奥の執務机には機密書類などが置いてある場合があるので、直属の部下以外は近づかないことがマナーとなっている。

 なので、基本届け物は手前の応接テーブルに置くのだ。

「あぁ、確かに受け取った」
「また、書類に関してはセレスタン本人が明日受け取りに来ると」
「そうか」

 リリアンは財務大臣と何度か話したことはある。だが、それだけの関係だ。

 特別親しいわけではない。

「では、失礼いたします」

 頭を下げて執務室を出ていこうとすると、こちらに背中を向けていた男が振り返った。

 さらりとした青い髪がなびく。

 男――カンディードの双眸は鋭く、リリアンを見つめていた。
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