冷徹大臣の雇われ妻~庶民出身成り上がり女官の次の就職先は伯爵夫人ですか~
「違います。……私がどうして財務大臣――ヴェルディエ卿と婚約することになるのですか?」
「私がお前の回答に満足したからだ」
当然のように言い切ったカンディードに、リリアンは頭が痛くなった。
そもそも、婚約ということは、その先には結婚がある。結婚とは双方の同意が必要ではないのか。
「私は了承していません」
「だろうな」
カンディードは悪びれた様子もない。リリアンの目の前に婚約届を置いて、元の位置に戻った。
彼は頬杖をついて、リリアンを見つめる。背中に嫌な汗が伝った。
「では、順を追って説明しよう。貴族の婚約、婚姻とは家同士のつながりを確たるものにするためのものだ。よって、政略結婚が主流となる」
「……さようでございますか。ということでしたら、ヴェルディエ卿もどこぞのご令嬢とご結婚ください」
頭を下げる。遠回しの断りに、カンディードは喉を鳴らして笑っていた。
「言っただろう。私はどちらの――いや、この場合どこかの派閥につくつもりはないと」
「……どういう――」
そこまで言って、気づいた。
(貴族の婚姻は家同士のつながりを確たるものにすること。そして、彼はどこの派閥にも入るつもりはない)
さらに、前提として『現在貴族の大半がどちらかの派閥についている』。
「私がお前の回答に満足したからだ」
当然のように言い切ったカンディードに、リリアンは頭が痛くなった。
そもそも、婚約ということは、その先には結婚がある。結婚とは双方の同意が必要ではないのか。
「私は了承していません」
「だろうな」
カンディードは悪びれた様子もない。リリアンの目の前に婚約届を置いて、元の位置に戻った。
彼は頬杖をついて、リリアンを見つめる。背中に嫌な汗が伝った。
「では、順を追って説明しよう。貴族の婚約、婚姻とは家同士のつながりを確たるものにするためのものだ。よって、政略結婚が主流となる」
「……さようでございますか。ということでしたら、ヴェルディエ卿もどこぞのご令嬢とご結婚ください」
頭を下げる。遠回しの断りに、カンディードは喉を鳴らして笑っていた。
「言っただろう。私はどちらの――いや、この場合どこかの派閥につくつもりはないと」
「……どういう――」
そこまで言って、気づいた。
(貴族の婚姻は家同士のつながりを確たるものにすること。そして、彼はどこの派閥にも入るつもりはない)
さらに、前提として『現在貴族の大半がどちらかの派閥についている』。