冷徹大臣の雇われ妻~庶民出身成り上がり女官の次の就職先は伯爵夫人ですか~
「金だけだして役立たずを雇うつもりはない。せめて金額程度の働きはしてもらわなくちゃならない」
「……そうですか」
「その点、お前はすでに女官として一定の成果を出している。私の出す条件も受け入れ、こなすことができるだろうという考えだ」

 先ほどはけなしておきながら、今は褒めている。

 落として上げる作戦だろうか。

「私は決してボランティアがしたいわけではないんでな」

 カンディードが言葉を締めくくる。

 リリアンはなにも返せなかった。

 返す言葉が浮かばなかった以上に、不意打ちの誉め言葉が恥ずかしかった。

「名前を貸してもらうだけだ。心や身体まで夫婦になってほしいわけじゃない。王位争いのいざこざが治まり次第離縁も考える」

 つむがれる条件はとてもいいものだった。

 正直、心は揺れている。

(女官としての出世は見込めない。この新しい仕事のほうが、いいのではないかしら?)

 それに、これ以上ロジアネに負担をかけたくない――。
< 24 / 28 >

この作品をシェア

pagetop