呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
 デートと黒薔薇の髪飾り

「へ、」
「外では、名前で呼んでくれないか」
「そ、そんな! 恐れ多いです……!」

 イブリーヌは夫の名を呼ぶのを嫌がったが、オルジェントは譲らない。
 名前を呼んで欲しい理由を説明し、無理やり妻を納得させると決めたようだ。

「背中に背負った大鎌で俺であることはすぐにバレるだろうが、イブリーヌに危険が及んでは敵わん」
「あ、あの……。私がいつものようにお呼びすると、なぜ危険が伴うのですか……?」

 彼が死神と呼ばれる皇帝であることは、イブリーヌも知っているが……。
 オルジェントはこの帝国において最高権力者だ。
 その通り名から忌避されることはあっても、本来であれば夫を加害できる身分の人物などいないはずだった。
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