呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「いらっしゃいま……」
夫婦揃って店内へ入店すれば、店主らしき女性が二人を出迎える。
その人物はオルジェントの顔を確認し、背中に背負った大鎌を目にして、恐怖で顔を引き攣らせた。
「当店に、どのようなご用件でしょう……?」
「彼女に似合う髪飾りを」
「黒髪と合わせるのでしたら、少し落ち着いた色合いの……」
「老人扱いするな」
「ひ……っ!」
店主が用意したヘアアクセの数々は、あまり主張をしないタイプの淡い色をしたものばかりだ。
それらはすべてデザインが古臭く、若い娘が身につけるようなものではない。
女性店員達に怒りを露わにした夫は、すぐさま別のものを用意するようにと命じた。
(そんなに喧嘩腰でなくたって、いいのに……。トラブルになったら、髪飾りを購入する前に、お店を追い出されるんじゃ……?)
夫を諌めるべきか。イブリーヌが迷っていれば。
彼女の前に、亡霊達が現れる。
『きひひ』
『愛し子に似合うもの、見つけた!』
『これにしよう!』
彼らはイブリーヌに、ある場所を見捉えるようにと店内を飛び回った。
彼女は困惑しながらも、そこに意識を集中させる。