呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
 亡霊の女王として目覚めた彼女に、恐れるものなど何もない。

 イブリーヌに恐ろしいことを囁く悪しき魂も、危害を加えようと目論む人間達も。
 すべて彼らに命じて、退ければいいだけなのだから……。

「私はあなたの愛を、信じてみたいと思います」
「イブリーヌ」
「オルジェント様。私は、あなたを――心の底から、お慕いしております……」

 ――イブリーヌがオルジェントに対して愛を囁いた瞬間。
不思議なことが起きた。

 彼の内側から勢いよく飛び出てきた闇のオーラが、空中で霧散したのだ。

 亡霊の女王として覚醒したイブリーヌは、それが何かをすぐに理解する。
 あれは、呪いの一種だと。

「ああ……っ。やっと、言える……!」

 歓喜に打ち震えたオルジェントは、彼女と離れないようにきつく抱きしめると――イブリーヌの耳元で何度も愛を囁いた。
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