呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「俺の最愛。世界で一番大切な、愛しき妻……イブリーヌ。愛している……!」

 その告白を耳にした妻は、思わず目を見張ってしまう。
 なぜならば彼は、何があっても絶対に。
イブリーヌに愛を囁くことはなかったからだ。

「陛下……。どう、して……?」
「今まで、すまなかった……。本当に……」

 最愛の妻の問いかけが耳に入らぬほど、彼は気持ちに余裕がないらしい。

(陛下にも、きっと……。事情がおありなのね……)

 涙声で謝罪と愛の言葉を繰り返すオルジェントの姿を目にしたイブリーヌは、彼が置かれた状況を悟り――夫が落ち着くまで、いつまでも抱き合っていた。

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