呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「すまない。感極まり、みっともないところを見せてしまったな……」
「いえ……」
長い間気持ちの整理がつくまで妻を抱きしめ離さなかった彼は、今まで愛を囁けなかった分だけ妻に何度も耳元で言葉を紡ぎ続けることで、我に返ったようだ。
罰が悪そうに身体を離した夫を目にしたイブリーヌは、彼に寄り添い口元を綻ばせた。
「私も……。たくさん、ご迷惑をおかけしましたから……。ここは、お互い様と言うことで……。よろしいのでは、ないかと思います……」
「……情けない男だと、嫌いにならないでくれ」
「まさか……。あり得ないですよ。陛下はいつだって、勇敢に。私を助けてくださるでは、ありませんか……」
オルジェントが諦めることなく。
絶望の縁に立たされていた彼女を掬い上げてくれたからこそ、今がある。
そうイブリーヌが感謝を伝えれば、彼もまた嬉しそうに口元を綻ばせた。