呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「俺の妻は、どうしてこれほどまでに愛らしく、可憐で……。美しいんだ……?」

 今までは妻とともにいてもピリピリしていることの多かったオルジェントは、彼女に愛を囁くようになった途端に表情が和らいだ。

(どちらが本当の、殿下なのかしら……)

 イブリーヌがある日突然態度が軟化した彼に不安そうな眼差しを向けたことで、オルジェントは妻からいつまで寒空の下に立たせているつもりだと批難されているように感じたらしい。

「詳しい話は、寝室に戻ってからしよう」

 ――聞きたいことは、山ほどある。

 イブリーヌが彼の言葉に頷けば、夫は当然のように妻を抱き上げる。

 彼女は何度目かわからぬ浮遊感に驚きながらも、どうにか首元へ腕を回すと――オルジェントのぬくもりを堪能しながら、自室へと戻った。

< 188 / 209 >

この作品をシェア

pagetop