呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「悪しき魂の怨みを買った」

 自室へ戻り、イブリーヌを抱きしめたままベッドの上に腰を下ろした彼は、露骨に顔を顰めながら妻へここに至るまでの経緯を説明した。

「イブリーヌが俺に、真実の愛を抱くまで……。言葉にできない呪いをかけられたんだ」

 オルジェントの言葉を、疑っているわけではなかったが――。
 ここには呪いをかけた張本人達がいる。

「皆さん……。陛下のお話は、事実でしょうか……」

 双方の意見を擦り合わせたほうがいいだろうと判断したイブリーヌが、亡霊達に事実確認をすれば。
彼らは代わる代わる怒りの声を上げた。

『私達が大事に守ってきた、愛し子に!』
『一目惚れなんて、するのが悪い!』
『こいつと一緒だと、イブリーヌは不幸になる!』
『私達の敵!』
『みんな、悪くない!』

 自分達は悪くないと口々に語り合うあたり、オルジェントに言葉は事実だと受け取るべきだろう。
 長年イブリーヌに愛を囁かなかった理由を知った彼女は、悲しそうに眉を伏せた。
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