呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「もう二度と。イブリーヌを悲しませる行動は、取らない」
「……はい。私も、もう……。あの子達には、惑わされません……」

 今度こそ亡霊達の声ではなく、愛する夫の意志を最優先にすると誓った。

『倒さなきゃいけない敵が、愛し子と思いを通じ合わせちゃった』
『これからどうなる?』
『これからどうする?』

 オルジェントとイブリーヌの仲を引き裂こうと目論んでいた亡霊達は、口々に囁き合う。
 悪しき魂達が相談し合った結果によっては、彼を襲いかねない状況だ。

「皆さん……」

 夫から視線を逸し、虚空を見つめた彼女へ応えるように。
 彼らは姿を見せ、イブリーヌに問いかける。

『イブリーヌは、どうしたい?』
『私達は、亡霊の女王に従う!』

 亡霊の女王として覚醒した彼女の周りには、闇のオーラに耐性のない人間が体調を崩しかねないほどに。
たくさんの悪しき魂達が、所狭しと詰めかけ――彼女の答えを待っている。

「私は……」

 オルジェントは不機嫌そうに彼を見つめ、いつ何があってもいいように背中の大鎌へ手を伸ばす。
 その姿を目にしたイブリーヌは悲しそうに眉を伏せると、首を振ってから亡霊達に告げた。
< 191 / 209 >

この作品をシェア

pagetop