呪われた死神皇帝は、亡霊の愛し子に愛を囁けない
「み、皆さん……! お、落ち着いて、ください……!」

 まだそうと決まったわけではないのに。
亡霊達が大暴れするようなことがあれば、本当に離縁する羽目になるからだ。

(陛下は私を、愛してくださっているもの……。離縁なんて、申し出るはずがない……)

 それを恐れたイブリーヌは、納得が行かない様子の亡霊達を背中に従えたまま。
怯えた様子で夫へ視線を向けた。

「――俺の言い方が、悪かった……」
「そう、ですよね……」
「俺は離縁を切り出すために、話しかけたわけではない」
「わかっています。そんなはずはないって。でも……」
「これから、テランバ公爵が謝罪に来る」

 オルジェントの気まずそうな声を耳にした彼女は、告げられた言葉の内容を理解するまで、長い時間を有した。
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