純恋〜ひとつの光〜
コポコポとお湯を注ぎコーヒーがフィルターから落ちるのを無言で見つめる。

「俺んち来てよ」

無理に決まってるでしょ。

耀くんはシンクに片手をついて私を見下ろしながら、私の髪の毛を一房手に取りクルクルといじる。

「部屋も余ってるし」

あ、てっきり一緒のベッドで寝るのかと思った。

「あ、それから家賃も持ち家だからいらない」

家賃もいらない!?
それは借金まみれの私には朗報だ。

「ここにいたらまたアイツ来るかもしれないし」

確かに…
絶対もう会いたくない。

「会わせたくない」

耀くん…

「青葉さんはあの男とどうなりたい?」

「え? どうって…。もう顔も見たくないよ」

これは本当だ。
戸籍上ではもう離婚もしているし、私たちが繋がっている理由は今はもう借金のみだ。

「なら尚更、俺の家に来なよ」

「でもただ住まわせてもらうのはちょっと…」

「なら、夜俺といて。働くのは花屋だけ」

え?
でもそれじゃ…

ん?
でも家賃がないならその分…

「俺といてくれるなら光熱費も食費もいらないよ」

あ、それって、夜の奉仕的な意味だったりする?

そういう事か!?

そんなうまい話がある訳ないもの。

「…無理だよ」

さすがに私にはその役は力不足だと思う。
< 103 / 251 >

この作品をシェア

pagetop