純恋〜ひとつの光〜
「だからね、放っておけなくてたまたま持ってた花をあげたんだよね。あの後、ちゃんとお家に帰れたのかな…」

「その子、嬉しかっただろうな」

耀くんはまたガーベラを見ながら優しく微笑んだ。

「耀くんも…、何か思い出があるの?」

「あるよ」

そう言って一輪だけ花瓶から抜き取って、花を見つめたあと私を見つめる耀くん。

でもまたスッと花瓶に花を戻し、何も言わずにキッチンの方へと行ってしまった。

私には話してくれないみたいだ。

やっぱり耀くんは謎だ。

近いようで遠い。

私はリビング一面ガラス張りになった窓側まで歩いて行って、広がる見た事もないような夜景に胸を打たれた。

凄い…

こんなに綺麗な景色が見えるんだ。

まるで特別な人間だけが見られる景色のようだ。

やっぱり私と耀くんは住む世界が違う…


キッチンから飲み物を持ってきた耀くんは、私をソファに座らすと隣に座ってワインを開けた。

高そうなワインだ。
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