純恋〜ひとつの光〜
「劣悪な環境ですね」

そう言ってフッと笑った。

そんな…

私のように殴られたりしているのだろうか。

こんなに綺麗な顔を傷つけられたりするの?

私は傷跡がないか彼の顔をジロジロ見て確認する。

「平田さん?」

彼はそんな私を見てクスクス笑う。

「いや、暴力とかで傷とかあるのかなって…」

「ははは、ありがとうございます。顔は無事です」

顔は?

それじゃ身体は?

私のように…

私は長袖で隠した左腕をぎゅっと掴んだ。

「そ、そう…。心配だわ? 本当に大丈夫?」

もうすっかり彼を放っておけなくなってしまう。

「大丈夫です。心配してくれるんですね。優しいな」

「あ、いえ。ごめんなさい。つい…」

自分と勝手に重ねてしまった。

「嬉しいです。こんな美人さんに心配してもらえて。それじゃ、そろそろ帰ります」

彼は携帯を見てポケットにしまうと立ち上がった。
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